岡井 耀毅(著)「肉声の昭和写真家―12人の巨匠が語る作品と時代」 (平凡社新書 2008/7)
昭和の時代に活躍し一世を風靡した写真家12人について、その人物像や写真に対する思想を、交友の記憶から探った書です。
著者は元「アサヒカメラ」編集長で、「昭和写真・全仕事」などのシリーズも手がけています。
登場するのは、三木淳、前田真三、薗部清、秋山正太郎、稲村隆正、中村正也、入江泰吉、藤本四八、緑川洋一、岩宮武二、植田正治、林忠彦の12人です。
カメラマンと雑誌編集者という親しい関係から、多くのエピソードが語られています。
作品を生み出す思想や写真に対する哲学というべきものが興味深く、また富良野の写真で有名な前田真三は元商社マンであり、作品からは想像できない実業家的な一面を持ち合わせていたことなど、作品からはうかがい知れない人物像も浮かび上がってきます。
12人に共通するのは、作品を見れば誰が撮ったのかわかるという意味で、確かな作風を確立し、明確な記号性を持っていた写真家だということでしょう。
作品を生み出すのは、技術よりも、写真に対する思想であり、そして人間性にあることがわかります。
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