手塚富雄(著)「いきいきと生きよ」
ゲーテを扱った書を何冊か紹介しましたが、これはドイツ文学者の手塚富雄氏(1903−1983)がゲーテとの心の対話というべきものを通じて、その普遍的な知恵を伝えようと著したものです。講談社現代新書として1968年に出版され、2008年3月にサンマーク文庫として復刊されています。
ゲーテの完成期の箴言を中心に取り上げていますが、単なることばの紹介ではなく、ゲーテと対話するかのような血の通った解釈によって、いきいきとしたゲーテその人の生き方が伝わってきます。
「こころがひらいているときだけ
この世は美しい。」(「格言詩」)
「いきいきとした、天分ゆたかな精神をもった人が、実際的な意図をもってごく身近なことに力を注ぐ場合こそ、この世における最もすぐれたものである」(「箴言と省察」)
「思索する人間の最も美しい幸福は、探求しうるものを探求しつくし、探求し得ないものを静かに敬うことである」(「箴言と省察」)
ゲーテのことばからは、普遍的で神的なものに対する敬虔な態度とともに、活動的で現実的な実行の人である姿が伝わってきます。
